ヘルペスウイルスのうち水痘帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella zoster virus)が引き起こす感染症で、子供の頃に最初にかかるときが「みずぼうそう」で、大人になってから再び活性化して症状がでるのが「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」です。このウイルスはいたるところにいて感染する力がつよいと言われています。
子供の頃にかかる「みずぼうそう」はほとんどが15歳までにかかります。感染力が強いので兄弟でかかってしまうことも多いです。みずぼうそうの潜伏期間は2週間くらいで発疹・発熱・だるさなどの症状が出ます。5mm〜1cmくらいの小さなぶつぶつと水疱が胸やお腹や顔にできます。水疱がやぶれるとウイルスが散らばって他の人にうつります。水疱がやぶれたり、吸収されて終わります。皮膚以外の合併症は少ないですが、まれに髄膜炎・脳炎・Reye症候群・肺炎・心筋炎などといったこわい合併症もおこります。
基本的には対症療法と言って、解熱剤など症状を和らげることが中心になります。また、かきむしったときに他人にうつしたり皮膚を傷つけにくいように爪を切っておくことが大切です。
ただし、12歳以上、免疫低下のある人、慢性的な皮膚疾患・肺疾患のある人などは水疱が出現してから24時間以内に抗ウイルス薬を投与すべきとされています。
最初の「みずぼうそう」に感染したあと、症状は治ってもウィルスは完全に体から消えるわけではなく、実は神経の中に潜伏し続けます。
そこに、加齢や過労、ストレスなどで免疫力が低下してしまうと、この潜伏していたウイルスが再活性化して「帯状疱疹」をおこします。中でも加齢の影響は大きく、50歳以降で発症率が急増します。
帯状疱疹が起きると、ひそんでいた神経から広がって神経が分布する範囲の皮膚に小さな赤いぶつぶつと水疱が出現します。強い痛みを生じることが多く、ぶつぶつは1週間くらいでおさまりますが、正常な皮膚に戻るまでは4週間くらいかかることもあります。顔面にも出てくることがあります。耳にでて顔面神経麻痺や味覚障害をおこす場合(Ramsay Hunt症候群; ラムゼーハントしょうこうぐん)もあります。
帯状疱疹の症状で最もつらいのは強い痛みで、帯状疱疹後神経痛といって、水疱がなおった後にも痛みだけが数ヶ月から1年以上続くことがあります。帯状疱疹になった人の10−20%くらいに起こると言われています。
こうなると痛み止めなどの薬を使ってもなかなかよくならず、大変つらい思いをすることになります。この強い痛みによって外に出るのがおっくうになって、引きこもりがちになったり、痛みで夜に十分に眠れない人もいます。日常生活に大きな影響を及ぼすやっかいな病気と言えます。
このように水痘帯状疱疹ウイルスは子供には大きな問題になることは少ないですが、感染力が非常に強く、80歳までに約3人に1人が発症すると言われていて、成人後に帯状疱疹を発症するとその影響が大きいので、ワクチンによる予防が重要です。
2014年から水痘ワクチンの2回接種が義務化されました。2回のワクチンにより子供の発症はほとんど防ぐことができます。全ての子供と感染する危険のある大人は受けることが推奨されています。
当院では帯状疱疹のワクチンを積極的におすすめしています。
50歳以上の方、帯状疱疹にかかる可能性が高い18〜49歳の方が対象です。シングリックスという不活化ワクチンを2ヶ月あけて2回注射します。事前の準備が必要ですので、まずは医師またはスタッフにご相談ください。
ハリソン内科学第15版
CDC web site
Yukiko Takao et al. Incidences of Herpes Zoster and Postherpetic Neuralgia in Japanese Adults Aged 50 Years and Older From a Community-based Prospective Cohort Study: The SHEZ Study J Epidemiol 2015;25(10):617-625
帯状疱疹ワクチン ファクトシート 2017年
クリニック名 | 二ノ切やまもとクリニック |
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