突然、足の親指や足首に激しい痛みを感じたことはありませんか?痛くて靴を履くのもつらい、痛くて外回りが大変という場合には痛風の症状かもしれません。この記事では、痛風の初期症状から対処方法までを詳しく解説します。
痛風は、体内の尿酸濃度が高くなることで、尿酸塩結晶が関節内に蓄積し、激しい炎症と痛みを引き起こす疾患です。足の親指の付け根に症状が現れることが多く、「風が吹いただけでも痛い」と表現されるほどの激痛を伴います。
詳しくはこちらの記事でも解説しています。
痛風の主な原因は、血液中の尿酸値の上昇です。健康な成人男性の尿酸値は3.0〜7.0mg/dLとされていますが、7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断されます。この状態が続くと、尿酸塩結晶が関節内に沈着し、痛風発作を引き起こす可能性が高まります。
尿酸値上昇の主な原因には以下のものがあります:
・プリン体を多く含む食品(レバー、小魚、魚卵、ビールなど)の過剰摂取
・メタボリック症候群(同様の生活習慣から引き起こされます)
・遺伝的要因
・腎機能の低下
糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満などのメタボリック症候群と高尿酸血症は密接に関連しています。メタボリック症候群の人ほど尿酸値は高く、尿酸値が高い人ほどメタボリック症候群の頻度が高いとされています。どちらかが原因でどちらかが結果というわけではなく、メタボリック症候群を引き起こすような生活習慣の人は高尿酸血症にもなりやすいと考えられます。
痛風は以下のような人に起こりやすいという特徴があります:
痛風の典型的な初期症状は、足の親指の付け根あたりの痛みです。その他にも足首などの関節にも出やすいです。
足の親指の付け根以外にも、足首、膝などの関節に痛みが現れることもあります。
関節炎を起こす痛風以外の病気としてはリウマチがあります。
リウマチは手や指の関節などに出やすく、複数の関節に痛みが出ることがありますが、痛風発作の多くは一つだけの関節に起こります。
前兆として軽度の関節の違和感やむずむずするような不快感が生じることがあります。
それから数日して急に激しい痛みになります。関節周囲が腫れて左右差がはっきりする、腫れている部分が赤くなる、触ると熱くなっている、などの症状が出ます。痛みは最初の1~2日がかなり強くてピークを迎えて、その後は徐々に軽減していきます。おおよそ7~10日程度でおさまります。そのため、仕事が忙しくてなかなか医療機関に行けない人などは市販の痛み止めなどを飲んだりしてやり過ごしてしまうこともあります。痛みが軽減してくれば、今さら医療機関を受診しなくてもいいだろうということでそのまま放置してしまうこともあります。そして忘れた頃にまた同じような痛みの発作がでてきます。
痛みが出現した時にすぐには医療機関を受診できない場合には患部の写真を撮っておくことをお勧めします。腫れが引いてから医療機関を受診した時に診断に苦慮することがありますが、発作時の写真があれば診断の助けになります。
痛みが出現して痛風の可能性があるかもしれないと思った時にチェックすべき点を挙げます。ただし、診断はあくまで医師にしてもらうべきことなので医療機関を受診してください。
以上のような特徴がいくつか当てはまれば痛風発作の可能性が高そうです。痛い部分の写真と、左右差がわかるように両足の写真を数枚撮っておきましょう。仕事帰りなどに時間を作って医療機関を受診しましょう。
痛風発作は関節炎を起こすことで症状が出ますので、その他の関節炎を起こす病気との見極めが難しいことがあります。代表的なものとしてはリウマチがあります。
症状
痛風は非常に急激に発症し、1~2日で痛みが最大になって、その後は徐々に軽減していきます。一方、リウマチは徐々に痛みや関節のこわばりを感じるようになり、数週間から数ヶ月かけて徐々に進行することが一般的です。
部位
痛風はほとんどが1箇所の関節、特に足の親指の付け根や足首に痛みがでることが多く、左右差があります。リウマチは複数の関節に痛みやこわばりがでて、左右差がないことがあります。
リウマチは関節炎が徐々に進んでやがて関節が破壊されていきます。そうなると変形や可動域制限がでてきます。リウマチは症状と血液検査からおおよそ診断がつきます。治療をおこなわないと病状が進行しますので、医療機関を受診することが重要です。
痛風発作を疑うような足の一部の痛みや腫れがある場合にはひとまず以下のような応急処置をおこないます。
このような応急処置をおこなった上で、早期に医療機関を受診することをお勧めします。自己判断で家族に処方された薬を飲んだりすることはやめましょう。
まずは痛み止めを用いてしっかり痛みを抑えます。薬としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、経口グルココルチコイド(ステロイド薬)、コルヒチンの3つが基本で、経過や重症度、合併症、併用薬などによって使い分けます。一般的には、NSAIを数日間用いることが多いです。なお、発作中に尿酸値を下げる薬を開始すると発作が悪化することがありますので、発作後しばらく落ち着くまでは尿酸値を下げる薬は使わないようにします。
痛風は一度発症すると再発しやすい疾患です。尿酸値が高いまま放置すると、痛風発作を繰り返してそのうち慢性の関節炎に移行してしまいます。そのため、発作が落ち着いたら尿酸値を下げる治療を開始します。
痛風の原因になっている尿酸はプリン体と呼ばれるエネルギー源の代謝産物です。普段の食事や飲酒によって過剰なプリン体を摂取している可能性があります。食事内容や飲酒習慣を見直すことで尿酸値を下げてその後の痛風発作の予防できる可能性があります。
職場の健康診断や特定健診などで「尿酸値が高い」と言われたことがある人は足の痛みが出現したときに「もしかして痛風かも?」と疑うことが大切です。患部を冷やして安静にして、早めに医療機関を受診しましょう。
医療機関で薬をもらって痛風発作がおさえつつ、日常生活の見直しを始めましょう。プリン体を多く含む食品やアルコールをとりすぎないようにして、水分をこまめに飲んで、野菜類を積極的に食べましょう。発作がなくなったら、週に1-2回のウォーキングなどを始めましょう。
そもそも痛みが痛風発作なのかどうか判断します。痛風発作だということになれば、まず痛み止めを処方します。発作時には尿酸値が低下していてあまり参考にはならないので、採血はしないことがほとんどです。
痛みが消失して関節炎がおさまったことを確認したら、尿酸値をさげる薬を始めます。もともとの尿酸値が不明な場合、数年前の数値しかわからない場合には採血をおこなって、尿酸値を確認します。健診などであらかじめ最近の尿酸値がわかっている場合は採血しないで治療を開始することもあります。
定期的(月に1回程度)に通院しながら尿酸値を下げる薬を増やしていきます。尿酸値を下げる薬を使い始めると関節内の尿酸塩の結晶が溶け始めます。溶けている最中に結晶がはがれ落ちると再び痛風発作がおこることがあります。その場合でも尿酸値を下げる薬は中断しないで飲み続けながら、痛み止めで発作に対処します。
そうしながら2-3ヶ月ごとに採血して尿酸値を確かめながら、6未満の低い数値を目標とします。この状態を長期に維持することで痛風発作の再発を予防できます。
低い尿酸値を維持することで関節内に蓄積した尿酸塩の結晶の溶解がすすみます。すぐに溶けてしまうわけではないので年単位など長期にわたって維持することが必要です。長期に低い尿酸値を維持できて、生活習慣も変えることができれば、薬を減らしたりやめたりすることも可能なことがあります。
豊中市にある二ノ切やまもとクリニックでは痛風の治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。
二ノ切やまもとクリニック 院長
山本 将士
・神戸大学医学部医学科 卒業
・神戸大学大学院 卒業
・大阪府済生会中津病院 外科
・神戸大学医学部附属病院 食道胃腸外科
・大阪府済生会中津病院 外科
・ニノ切やまもとクリニック 開院
クリニック名 | 二ノ切やまもとクリニック |
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