「風が吹くだけでも痛い」というくらい足の関節に痛みを引き起こす痛風は、糖尿病や高血圧症などと同じ生活習慣病です。ビールとの関係がよく知られていますが、肉類や脂っこいものの摂取などとも関わりがあります。そのため、生活習慣を改めることで治療や予防ができる病気です。
本記事では、痛風予防・治療で最も大切な食習慣の見直し、運動習慣や日常生活で実践できる予防法を徹底解説します。尿酸値を下げるための具体的な方法を知り、痛風の発症を未然に防ぎましょう。

食品に含まれるプリン体と肝臓で作られるプリン体が体内で利用されたのちに最終的に尿酸となります。この尿酸が体内にプールされて、そのうち2/3が腎臓から捨てられ、1/3が腸から捨てられます。尿酸のもとになるプリン体をたくさんとったり、尿酸の排泄(はいせつ)が少なくなったりすると、体内にプールされた尿酸が増えて、血液中の尿酸値が上昇します。
血液中の尿酸値が高い状態が続くと、関節内に尿酸の結晶が沈着します。この尿酸結晶が何らかのきっかけで関節腔内に剥がれ落ちると炎症をおこして、関節炎になります。この関節炎が痛風発作です。
尿酸値が高い状態のことを「高尿酸血症」といい、基準値が7.0mg/dL以下なので、それより高い状態を指します。高尿酸血症が続くと、痛風発作が起こるリスクがあります。生活習慣の見直しが必要になります。これが8.0mg/dLや9.0mg/dLをこえると生活習慣の見直しとともに尿酸値を下げる薬を考える必要があります。
痛風になりやすい人には、いくつかの特徴があります。主なリスク要因は以下の通りです。
主なリスク要因:
プリン体の摂取・肉類の摂取・飲酒・激しい運動・ストレス・肥満などが尿酸値の上昇につながるといわれています。このような生活習慣がある人は要注意です。
痛風予防のためには、自分がリスク要因に該当するかを確認し、複数当てはまる人は早めに痛風対策を始めることが大切です。

痛風予防において、食生活の見直しは最も重要な要素の一つです。プリン体が体内で分解されると尿酸になるため、プリン体を多く含む食品に気をつけたり、食事全体でのプリン体の摂取量が多くならないような注意が必要です。
プリン体含有量が極めて多い食品(100gあたり300mg以上)
プリン体含有量が多い食品(100gあたり200~300mg)
プリン体含有量が中程度の食品(100gあたり100~200mg)
これらの食品を禁止する必要はありませんが、食べすぎないように注意することが大切です。
そもそも魚や魚卵を大量に食べる人は少ないこと、魚類はDHAやEPAなどという健康にいいとされる不飽和脂肪酸を含んでいるので魚類を制限することはあまりお勧めできません。アルコールとともに肉類や脂っこいものを食べすぎてしまうと、全体としてのプリン体が多くなってしまうので、アルコールを控えめにして肉よりも野菜などを意識して摂るようにしましょう。
おすすめの食品
痛風予防・治療では、十分な水分補給が重要です。痛風の人は尿中への尿酸排泄量が増えているので、尿路結石ができやすいと言われています。1日2リットル以上の水分を摂取することで、尿量が増加し、尿中の尿酸の溶解度が増えて、尿路結石ができにくくなります。
水分補給のポイント:
特に就寝前や起床後などは脱水状態になりやすいため、意識的に水分を補給しましょう。
痛風予防のためには、水分補給を習慣づけることが大切です。

適度な運動は肥満解消につながり、尿酸値を下げる効果が期待できます。痛風対策として特におすすめなのは、以下のような有酸素運動です。
推奨される運動:
適度な運動により、肥満を解消して代謝もよくなることから、尿酸値の低下が期待できます。
これらの運動は、痛風だけでなく、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の予防や治療においてとても重要です。
ただ、短時間の激しい筋トレなどはむしろ尿酸値が高くなるので、ゆるやかな30分以上の有酸素運動がおすすめです。
また、いきなりジムに通うなどしても続かないことが多いので、まずはお金をかけずにできるウォーキングやジョギングなどを時間的にも生活に負担にならない範囲で始めてみましょう。
運動時の注意点
こまめな水分補給を心がけて、無理せずしんどくならない程度の運動をおこなうことで、安全で効果的な痛風対策を心がけましょう。

アルコールは痛風対策において最も注意すべき要因の一つです。アルコールは種類によってプリン体の含有量が多く、脂っこい食品の摂取量も増えてしまうことが多い飲料です。
アルコールの種類別
ビールはプリン体が多く含まれるため、痛風対策では特に注意が必要です。発泡酒などはプリン体ゼロのものや糖質ゼロのものを選ぶと良いでしょう。ただ、アルコール自体は脂肪肝など痛風以外の問題も引き起こすので飲み過ぎには注意しましょう。
飲酒時の注意
いきなり禁酒するのが難しくても、休肝日を作ったり、量を減らしたり、お酒の種類を変えたりすることで尿酸値を下げることは可能です。痛風予防のためには、アルコールとのうまくつきあうようにしましょう。
痛風対策には、定期的な尿酸値のチェックが大切です。すでに痛風で通院されている人は定期的に測定していると思いますが、今までに痛風になったことがない人は健診などを利用してチェックすることが大切です。
医療機関では、食事指導や尿酸値を下げる治療を受けることができます。尿酸値>9.0mg/dLの場合や、痛風発作を起こしたことがあって尿酸値>7.0mg/dLの場合は、医師の指導のもとでの痛風対策や治療が必要です。
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痛風対策は、食生活の改善、適度な運動、生活習慣の改善という3つの基本となる対策をおこなうことで、尿酸値を効果的に下げることができます。プリン体を控えた食事、水分補給、有酸素運動、アルコールとの適切な付き合い、そして定期的な尿酸値チェックをおこなうことが重要です。
無理なく続けられる範囲で痛風対策を始め、健康的な生活を手に入れましょう。

豊中市にある二ノ切やまもとクリニックでは痛風の治療をおこなっていますので、お気軽にご相談ください。
二ノ切やまもとクリニック 院長
山本 将士
・神戸大学医学部医学科 卒業
・神戸大学大学院 卒業
・大阪府済生会中津病院 外科
・神戸大学医学部附属病院 食道胃腸外科
・大阪府済生会中津病院 外科
・ニノ切やまもとクリニック 開院
| クリニック名 | 二ノ切やまもとクリニック |
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| 住所・所在地 | 〒560-0084 豊中市新千里南町2丁目6-18 カーサマリーナモンテカルロ1階 |
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