爪が足裏側に指に巻き付くように変形することを巻き爪といいます。手にも起こりえますが、ほとんどは足の指(とくに親指)に起こりやすいです。
本来、爪は足裏側からの力に対抗するようにある程度は巻くようになるのが正常です。これが足裏からの外力が十分に作用しなくなると爪の巻く力によって爪が指に過度に巻き付くようになります。他にも爪が靴による圧迫を受けたり、指の変形による圧迫を受けたりして爪が巻いてしまうこともあります。
靴が足の指に当たっていると爪に側方から力が働いて爪の変形が起こることがあります。とくに外反母趾になるようなハイヒールなどは親指の内側に力が加わります。それによって巻き爪が引き起こされることがあります。まずは自分の足のサイズをきちんと測ることがスタートです。足のサイズとはかかと部分から一番長い足指の先端までの長さ(足長)を指しますが、親指が一番長い人もいれば、人差し指が一番長い人もいます。そのため、同じサイズであっても靴の形によっては一番長い足指が靴にあたってしまうこともあります。
かかとがきちんと入っていて歩くたびに靴から抜けでていないか、横幅が狭くないか、つま先に余裕があるかなどをチェックするようにしましょう。
特に女性の靴には大きく分けてパンプスとサンダルがあって、全体の形、ヒールの形、トゥの形の組み合わせでさまざまな種類があります。
サンダルは足があまり覆われていなくて通気性がいいのが特徴です。かかと部があいていてベルトやストラップでかかとを固定するタイプが多く、つま先はあいていることが多く、横方向からの圧迫がなければ巻き爪にはなりにくいと言えるでしょう。かかとがしっかりとホールドされていないと安定しないのと、指先ぎりぎりのものは歩く時に指が前に出てしまってケガをすることもあるので、指先に少し余裕があるものを選びましょう。
パンプスは足の甲の部分が大きくあいていて、かかととつま先が覆われています。足の甲の部分にベルトやストラップがないものはつま先とかかとだけでホールドするので、かかとに隙間があると歩くたびにぬげてしまいます。そのため、きつくなくてかかとが抜けないかどうかを試着で確認してください。横方向がきつくなくて、つま先に余裕があって足指が上下に動かせるものを選びましょう。
足爪は手の爪とはちがって指に沿って丸く切るのではなく、横方向にまっすぐに切るのが良いとされています。間違った爪切りのせいで巻き爪になるわけではありませんが、巻き爪の状態で深爪をしてしまうと伸びてくる時に指の皮膚に当たったり、食いこんだりしてしまって、爪周囲の皮膚に炎症を起こして痛くなる陥入爪(かんにゅうそう)になることがあります。こうなると歩くのもつらくなるので早めの処置が必要です。処置には局所麻酔が必要になることがあります。そのようにならないためにも爪切りは横にまっすぐになるように心がけましょう。
爪は足裏からの外力に対抗するために弯曲しています。そのため、足裏からの外力が十分にかからなくなると巻いてしまいます。実際に裸足で歩いてみて親指がきちんと地面につくか、よく使う靴を履いてみてあるいたときに親指が踏ん張れているかを確認しましょう。
巻き爪の治療は巻いている爪をなんとかしてそらす方向に力を加えて変形をなおすというものです。ただ、足の爪は硬くてなかなか簡単には曲がらないのでさまざまな工夫が編み出されています。その多くは特殊な機械や道具を使うものであるため、自宅ではできないことが多いです。自宅でできることとしては、食いこみがちなところの皮膚をテープで引き下げる方向に引っ張って爪周囲の皮膚への圧迫を和らげるなどの方法が考えられます。
巻き爪の治療は保険診療では扱われていません。皮膚に食いこんで発赤と痛みを生じる陥入爪になると治療は保険が適応されます。程度によっては局所麻酔をして食いこんでいる部分の爪を切ることもあります。そのような陥入爪になっていなければ、保険診療での巻き爪の治療は保険の適応とはなりにくいです。
皮膚に食いこんで炎症を起こす陥入爪までにはなっていない巻き爪に対する処置はほとんどが自費診療(自由診療)となります。方法はいくつもあって、爪に小さな穴を開けて形状記憶ワイヤーを入れてワイヤーが元に戻ろうとする力で爪をそらせるワイヤー法、ワイヤーを爪の側方に引っかけてひっぱるなどさまざまな方法があります。いずれの方法も一回だけでなおることは少なく、何度か通院して治療に数ヶ月かかってしまうことが多いです。
当院ではワイヤー法のほかにジェルネイルと同じ原理でジェルがゆっくりと硬化していく過程で爪を持ち上げるアップジェルという治療方法を取り入れています。ジェルネイルと同じように爪にジェルを塗っているだけなのでひっかかったり外れたりすることがありません。また見た目も巻き爪の治療をおこなっているとはわかりにくいという特徴があります。1ヶ月-1ヶ月半ごとに何度か塗りなおして爪の巻き具合がゆるやかになった時点で治療終了となります。
また、ワイヤーを爪の側方に引っかけてひっぱりあげるVHO式矯正法もおこなっています。1ヶ月半から2ヶ月くらい矯正力がつづきます。何度か繰り返しておこない、爪の巻き具合がゆるやかになった時点で治療終了となります。
しっかりと親指で地面をホールドすること、足爪を押さえつけないような靴をはくことが巻き爪の予防には大切です。ただ、足爪のことだけを考えて運動靴やスリッポンだけを履くわけにもいかないので、デザイン性を優先しながらも、あまり足爪に圧迫を与えにくい靴を選ぶことが重要です。かかとをしっかりホールドできて、指先に余裕がある靴を選びましょう。
ただ、やはり仕事や出かける場所、だれと会うかなどで靴選びは変わってくると思います。そのため、巻き爪を予防しつづけることは難しいかもしれません。巻き爪はあるけれど、痛みがなかったり日常生活に支障が出ないように、矯正をしながら上手く付き合っていくことが重要だと思います。
巻き爪は長年にわたる靴の影響や歩き方によっておこる爪の変形です。そのため、処置をしても靴や歩き方などの習慣が変わらなければ、やがて再発してしまいます。
巻き爪に対する処置をしながら、陥入爪になることを防ぎながら、適切な靴を選んで巻き爪が再発しにくい習慣をつけましょう。
二ノ切やまもとクリニック 院長
山本 将士
・神戸大学医学部医学科 卒業
・神戸大学大学院 卒業
・大阪府済生会中津病院 外科
・神戸大学医学部附属病院 食道胃腸外科
・大阪府済生会中津病院 外科
・ニノ切やまもとクリニック 開院
クリニック名 | 二ノ切やまもとクリニック |
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