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痛風の薬を医師が解説!治療薬の種類·効果·副作用まで徹底網羅

痛風とは、血液中の尿酸が多い状態が続いた結果、足首の関節などに尿酸の結晶ができて、それが強い炎症を引き起こして赤く腫れ上がっている状態です。

痛風発作とも呼ばれ、足の場合は強い痛みのため靴を履くのもつらいほどです。

治療には適切な薬を使うことが重要です。
痛風の薬とは?治療の基本を理解しよう

痛風の薬とは?治療の基本を理解しよう

痛風治療における薬の役割


痛風の治療では発作が起こっている時、発作がおさまっている時などそれぞれのタイミングで使う薬が違っています。そのため、適切なタイミングで適切な薬を使い分けることが大切です。

痛風の薬が必要になるタイミング

まずは痛風の薬が必要になるタイミングは以下の通りです。

  • 痛風発作が起こっている時
  • 痛風発作がおさまった時
  • 過去に痛風発作を起こしたことがある場合

医師の診断を受けて、自分の状態に合った適切な痛風の薬を処方してもらいましょう。

また、健診などで尿酸値が高いと指摘されているが、痛風発作を起こしたことがない人は薬を使う必要がないこともあります。

痛風の薬は大きく2種類に分けられる

①痛風発作時の薬


痛風発作は関節炎なので、まずは痛みをおさえることが重要です。患部を安静にして冷やすことも有効です。関節炎をおさえる薬としてはコルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、経口グルココルチコイド(ステロイド薬)の3つが基本で、経過や重症度、合併症、併用薬などによって使い分けます。

なお、発作中に尿酸値を下げる薬を開始すると発作が悪化することがありますので、発作後しばらく落ち着くまでは尿酸値を下げる薬は使わないようにします。

②痛風発作の後の薬(尿酸値を下げる薬)

痛風発作後に尿酸値が高いまま放置していると、痛風発作を繰り返すことになります。発作後に落ち着いたら尿酸値を下げる治療を始めます。

尿酸値を下げる薬は体内の尿酸を減らすことで関節内に蓄積した尿酸の結晶を溶かすことができます。尿酸をつくるのをじゃまする薬と、尿酸を捨てるのをうながす薬の2種類があります。

  • 尿酸を作るのをじゃまする薬

体内のプリン体がエネルギーとして使われたあとに尿酸となります。この尿酸を作る過程をじゃますることによって尿酸値を下げます。フェブキソスタットやアロプリノールなどの薬があります。

  • 尿酸を捨てるのをうながす薬

尿酸は腎臓から排出されますが、これを促すことで尿酸値を下げます。プロベネシド、ドチヌラドなどの薬があります。

痛風発作時に使用する薬の詳細

コルヒチン

コルヒチンは痛風発作の時に使う古くからある治療薬です。痛風発作の前兆を感じた時点で服用すると、発作の進行を防げることがあります。

  • 痛風発作の発症早期に使う
  • 下痢や吐き気などの消化器の副作用が起きやすい
  • 肝機能や腎機能に問題がある人は使用に注意が必要
  • 併用注意の薬が多い

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、痛風発作時に使う鎮痛薬です。ナイキサン、インテバン、二フランなどで、炎症を抑えて痛みを和らげる効果があります。

  • 胃腸障害や腎障害などの副作用に注意が必要

多くの場合には胃薬と一緒に処方されます

  • 腎機能が低下している人はさらに悪化する可能性があります

使用するかどうか別の薬に切り替えるかどうかについて医師とよく相談しましょう

ステロイド剤

抗炎症作用を持つステロイド剤も痛風発作時に使われることがあります。NSAIDsだけでは不十分な時に追加したり、腎機能障害でNSAIDsが使えない時などに用います。

  • 胃腸障害や感染症などに注意が必要

尿酸値を下げる薬の種類と特徴

尿酸生成抑制薬:尿酸を作るのをじゃまする薬


尿酸生成抑制薬は、体内で尿酸が作られる過程を阻害することで血液中の尿酸値を下げます。代表的な薬には以下があります。

アロプリノール

  • 痛風や高尿酸血症を伴う高血圧症に使います
  • 1日100mgくらいから始めて200~300mgで維持する(1日1回)
  • 腎機能が低下している人は副作用に注意
  • 慢性腎臓病のある高尿酸血症の人に用いると腎障害の進行をおさえるという報告がある

フェブキソスタット(フェブリク)

  • 痛風や高尿酸血症に使います
  • 1日10mgくらいから始めて40~60mgで維持する(1日1回)
  • 腎機能が低下している人でも比較的安全
  • 肝機能障害が起こらないか注意が必要
  • 慢性腎臓病のある高尿酸血症の人に用いるとアロプリノールよりも腎障害の進行をおさえるという報告がある

トピロキソスタット(トピロリック、ウリアデック)

  • 痛風や高尿酸血症に使います
  • 1日20mgくらいから始めて120~160mgで維持する(1日2回)
  • 腎機能が低下している人でも比較的安全
  • 肝機能障害が起こらないか注意が必要
  • 慢性腎臓病のある高尿酸血症の人に用いると腎障害の進行をおさえるという報告がある

尿酸排泄促進薬:尿酸を捨てるのをうながす薬


尿酸排泄促進薬は、腎臓からの尿酸排泄を促進することで血液中の尿酸値を下げます。

ベンズブロマロン(ユリノーム)

  • 1日25mgくらいから始めて50~100mgを維持(1日1~2回)
  • まれに重篤な肝障害のリスクがある
  • 内服開始前と開始後にも定期的な肝機能検査が必要

プロベネシド(ベネシッド)

  • 1日500mgくらいから始めて1000~2000mgを維持(1日2~3回)
  • まれに重篤な肝障害のリスクがある
  • 尿路結石のリスクがある

ドチヌラド(ユリス)

  • 尿酸値を低下させる効果が高い
  • 1日0.5mgくらいから始めて1日2~4mgを維持(1日1回)
  • 腎機能が低下している人でも比較的安全だが、尿路結石のリスクがある

尿酸排泄促進薬は尿酸値低下効果が高いですが、尿中に尿酸が増えることで尿酸結石ができる可能性があります。服用時は水分を十分に摂取し、尿をアルカリ化する薬(ウラリット)を併用することもあります。

これらの薬のうちどれを用いるかは患者さんそれぞれの尿検査や血液検査の結果、年齢、持病のあるなし、過去の病気、生活状況などを総合的に判断して決定します。

痛風の薬の注意点

痛風の薬にはそれぞれ特有の副作用があります。主な副作用を理解して、注意しておくことが重要です。

コルヒチンの副作用:下痢、嘔気などの消化器症状

NSAIDsの副作用:胃潰瘍、十二指腸潰瘍(腹痛、嘔気など)
         腎機能低下(むくみなど)

アロプリノールの副作用:過敏症(発疹など)

フェブキソスタットの副作用:肝機能障害

ベンズブロマロンの副作用:重篤な肝障害

ユリスの副作用:尿路結石(痛みなど)

これらの副作用が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。

痛風治療中の注意

  • 用量を守る 飲みすぎたり、飲み忘れがないように注意
  • 痛風発作が出た時に自己判断でやめない
  • 定期検査を受ける 血液検査や尿検査を受けましょう
  • 十分に水分摂取する 水分をしっかり摂取して尿路結石ができにくい状態を作る

何か気になる症状が現れたら、自己判断で薬を中止せず、必ず医師に相談しましょう。

痛風についてよくある質問


痛風について多くの患者さんが疑問に思うことや困ることについてまとめてみました。

Q. 薬を飲み忘れたらどうしたらいいですか?

A. 1日1回の薬は気づいた時点ですぐに服用しましょう。ただし、次の内服時間が6時間以内程度に迫っている時は内服しないで、1回飛ばして正規の内服時間に内服しましょう。

1日2回の薬は、次の内服時間が6時間以内程度に迫っている時は内服しないで、1回飛ばして正規の内服時間に内服しましょう。

Q. 痛みがなくなっても治療は必要ですか?

A. 必要です。痛風発作の痛みがおさまった状態というのは関節内に尿酸結晶が析出·沈着して炎症を起こした状態です。痛みがおさまった状態とは炎症がおさまった状態で、尿酸結晶がなくなったわけではありません。いつまた炎症を起こしてもおかしくありません。そのため、尿酸結晶を増やさない·減らしていく治療が必要です。

Q. ビールはやめないといけないですか?

A. ビールが痛風になりやすいことはよく知られていますが、実はビールそのもののプリン体含有量は中程度です。ビールには5~15mg/100ml程度のプリン体が含まれていて、500~1000ml飲むと25~150mgとなります。これはカツオのタタキやスルメイカやレバーなどに比べると少ないですが、飲酒と一緒に高プリン体の食事を食べることが多く、結果的に摂取量が過剰になる傾向があります。痛風をまねく食習慣の入り口にビールがあると言えます。そのため、ビールをやめないといけないわけではありませんが、飲酒の機会が多い方は、ビールだけでなく食習慣全体を見直すことが大切です。ちなみに焼酎や泡盛などの蒸留酒にはほとんどプリン体は含まれていません。

Q. 痛風の薬は一生飲まないといけませんか?

A. そうとは限りません。痛風の薬を飲んで尿酸値が4や5くらいを維持できると関節内の結晶が溶け始めます。ただし、そのスピードはかなりゆっくりだと言われています。3~5年にわたってその状態を続けることができれば、やがて関節内の尿酸の結晶がなくなります。このように、薬を継続的に服用しながら尿酸値が十分に低い状態を維持し、さらに飲酒や肉類の摂取を控えるなど生活習慣を改善できていれば(これがとても重要です)、将来的に薬を中止できる可能性もあります。

Q. 他にも薬を飲んでいるんですが飲み合わせは大丈夫ですか?

A. 必ず医師や薬剤師に現在服用中の薬を伝えましょう。とくに免疫抑制剤などは併用注意のことが多いので忘れずに報告しましょう。

不安や疑問があれば、遠慮せずに医師や薬剤師に相談しましょう。

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痛風の薬には、発作の時に飲む薬と、発作がおさまった後に飲む薬があります。

尿酸値を下げる薬にはいろんな種類があり、それぞれの尿酸値や持病や過去の病気などに合わせて適切な薬を選ぶことが大切です。

それぞれの薬の特徴や副作用を理解し、医師と相談しながら自分に合った治療法を見つけましょう。痛みがなくなってもきちんと治療をつづけることで、痛風発作から解放されることができます。生活習慣を見直して健康的な生活を送りましょう。

二ノ切やまもとクリニックでは痛風の診断、治療を行っています


豊中市にある二ノ切やまもとクリニックでは痛風の治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。

当院のコラムは全て医師が監修しています
プロフィール

二ノ切やまもとクリニック 院長

山本 将士

・神戸大学医学部医学科 卒業
・神戸大学大学院 卒業
・大阪府済生会中津病院 外科
・神戸大学医学部附属病院 食道胃腸外科
・大阪府済生会中津病院 外科
・ニノ切やまもとクリニック 開院

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アクセス

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住所・所在地 〒560-0084 豊中市新千里南町2丁目6-18
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