爪白癬(爪水虫)は爪が変色したり、変形したりして見た目が問題になるだけでなく、、放置することで健康被害をもたらす可能性があります。「痛くないから大丈夫」と思っていても、実際には症状が徐々に進んで、治療が困難になるケースが少なくありません。
本記事では、爪白癬を放置することによるリスクから適切な治療法まで、専門的な観点から詳しく解説します。
爪水虫とは真菌(しんきん)と呼ばれる菌類が足の爪に感染して起こる病気です。ほとんどが白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる真菌ですが、他にもカンジダ・マラセチアなどの真菌も少数認められますのでそれらも含めて爪真菌症というのが正確な表現となります。ただ一般的にはほとんどが白癬菌なので、爪白癬ということが多いです。爪水虫(爪白癬)は、足の裏や指の間にできる水虫(足白癬)に比べて、治りにくく、爪の先や横から爪の下に入りこんで、爪の下で菌が増殖して爪を持ち上げて爪をボロボロにします。爪がにごる、分厚くなる、もろくなるなどの変化があらわれます。
爪白癬の初期症状としては、爪の一部が白色や黄色に変色して混濁することがあります。痛みや痒みなどの症状はないため、気が付かないことも多くあります。
爪白癬の初期症状:
この段階で医療機関を受診して検査すれば、比較的早く治療が開始できます。しかし、ときどき自分の足爪を見るという習慣がなければ、気が付かなくて放置されることも多くあります。
また、時間経過とともに別の足指の爪にも同じような変化が出てくることがありますので、気がついたら複数の爪に病変が広がっていたということもあります。
爪白癬の原因となる白癬菌は、高温多湿な環境を好みます。特に足の指の間は靴や靴下を長時間履くことで蒸れやすく、白癬菌が繁殖しやすい環境となります。このように足の指の間や足裏に白癬菌が繁殖した状態を足白癬と言います。この足白癬が長引くとやがて爪にも白癬菌が入り込んで、爪白癬になります。白癬菌は足白癬の人の足から環境中に落ちて、乾燥環境でも1ヶ月、湿潤環境ならなんと6ヶ月も生存して、そこから他の人にうつっていきます。普通に足裏の皮膚に触れただけでは感染は成立しませんが、傷があったり足裏が湿っていたりすると感染します。
ほとんどが自分の足白癬から進展します。足白癬になる感染経路しては以下のようなものが考えられます。
爪白癬を放置すると、白癬菌が爪の一部分から全体に広がります。爪の下に角質が増生して爪が浮き気味になったり、爪が分厚くなったりします。分厚くなっても爪自体の強度はもろくなってしまうことが多いです。
爪が分厚くなることを肥厚爪といいますが、これが進むと爪が上へ向かって生えたり、左右に曲がって伸びたりすることがあります。靴下を履くときに引っかかったり、靴を履いたときに当たって違和感や痛みを感じることがあります。ひどい場合には爪が割れてしまったり、剥がれたりすることもあります。
このように爪白癬は最初は爪の変色やちょっとした形態の変化だったのに、いつの間にか爪の大きな変形をきたして、違和感や痛み、爪の剥がれなどにつながることがあります。他人に爪を見られたくなくて、温泉に行くことやサンダルを履くことに抵抗を感じたり、そもそも靴を履くことや外出することがおっくうになったりすることはもちろん、転倒のリスクも高くなってしまいます。そのため、肥厚爪はあまり長期になる場合には放置しないで治療してもらえる医療機関にかかるようにしましょう。
爪白癬や足白癬患者の足から落下した白癬菌は環境中で1-6ヶ月程度の長期間生存しています。バスマットなどの湿潤環境では6ヶ月程度の長期に生存しているのでそこから家族に感染することがあります。そのため、足白癬や爪白癬がある人は、まずは放置しないで治療をうけることが大切です。その上で、家族にうつさないような注意が必要です。
爪白癬の治療に先立って大切なことは本当に爪白癬なのかどうかを診断することです。爪と爪の下の角質を採取して、本当に白癬菌がいるかどうかを調べます。白癬菌がいなければ治療はできませんが、検査結果が100%正しいわけではない(白癬菌がいても検査ではいないと判断してしまうことがある)ので、白癬菌感染が強く疑われる場合にはしばらく経過を見てから再度検査を行うこともあります。
検査で白癬菌がいるとなれば、治療を考えます。
爪白癬の治療は大きく分けて2つあります。塗り薬による治療と飲み薬による治療です。
どちらの治療にも一長一短があります。
塗り薬は副作用が少ないですが、効果が低い。飲み薬は効果が高いですが、副作用に注意が必要です。
年齢、持っている病気、飲んでいる薬、血液検査の結果などを総合的に判断してどちらの治療がいいかを決める必要があります。これは医療機関でしか決められませんので、爪白癬かなと思った時はまずは医療機関を受診しましょう。
爪白癬の塗り薬は、爪用の抗真菌薬です。エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン)、ルリコナゾール(商品名:ルコナック)などがあります。
高齢で、持病がたくさんあって多数の薬を飲んでいたり、肝機能が悪かったりするような方は副作用が少ない塗り薬を用いることが多いです。
ただ、分厚く肥厚した爪に塗ってもなかなか浸透しないので、まずは肥厚爪をグラインダーという機械で削って形を整えてから塗ることが重要です。そういった処置が可能な医療機関で処置をする必要があります。
完全治癒率(白癬菌がいなくなって、爪もきれいになる率)は15%程度とそれほど高くはありません。
爪白癬の飲み薬は塗り薬よりも効果が高いとされています。代表的な内服薬にはテルビナフィン(商品名:ラミシール)、ホスラブコナゾール(商品名:ネイリン)などがあり、それぞれ完全治癒率は60%程度とかなり高くなっています。
1日1回内服、6ヶ月継続、効果は6ヶ月くらいから
1日1回内服、3ヶ月継続、効果は6ヶ月くらいから
薬価は高くなりますが、3ヶ月で飲み終わるので治療が完遂しやすいです
これらの飲み薬は肝機能障害などの副作用に注意する必要がありますので、治療開始前や開始後に血液検査を行う必要があります
爪白癬の予防において最も重要なのは、足を清潔に保つこととジメジメと濡れたままにしないことです。1日中靴や靴下を履いたまま蒸れた状態にしないこと、毎日の入浴時に足を洗うことと、きちんと水分をふくようにしましょう。
毎日同じ靴を履き続けると靴が乾燥しないままに翌日履くことになるので、靴は何足かをローテーションさせて靴を休ませるようにしましょう。
爪白癬の治療が成功したとしても、その後に再発しないように継続的な注意が必要です。白癬菌は環境中に広く存在するため、いつまた感染してもおかしくないのです。
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爪白癬は最初のうちはあまり気にならないかもしれませんが、放置するとさまざまな問題が起こり、治療も難しくなります。早期発見して治療開始することにより、治癒率も高くなる可能性があります。爪の変色や肥厚などの異常に気づいたら、医療機関を受診することが重要です。また、日常生活での予防対策で感染を広げるリスクを減らすことができます。
豊中市にある二ノ切やまもとクリニックでは爪白癬の治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。
二ノ切やまもとクリニック 院長
山本 将士
・神戸大学医学部医学科 卒業
・神戸大学大学院 卒業
・大阪府済生会中津病院 外科
・神戸大学医学部附属病院 食道胃腸外科
・大阪府済生会中津病院 外科
・ニノ切やまもとクリニック 開院
クリニック名 | 二ノ切やまもとクリニック |
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